学習通信090626
◎産業別結集への道をひらいたのは……

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非正規雇用労働者の実態にそくした組織的結集の継続・発展を探求する

第二は、非正規雇用労働者の実態にそくした、組織的結集の継続・発展を探求することであります。

 一つひとつのたたかいの帰趨が、どのようなものとなったとしても、立ちあがった労働者のたたかいを一時のものとせず、ひとたび組織的に結集した労働者が、ひきつづき階級的連帯・団結の道を歩んでいけるように、新たな探求と努力をはかりたいと思います。

 雇用破壊とのたたかいで勝利して、直接雇用・正社員化をかちとるならば、その職場でさらにたたかいを発展させることができます。

 仮にそれがかなわず、職場を移る場合でも、つぎの二つの点で、組織的結集を継続・発展させるように力をつくします。

 一つは、職場を移っても労働組合員として引き続きがんばっていけるような道の探求であります。ある電機産業の大企業で働いていた派遣労働者は、不当な雇い止めに反対するために、組合を立ち上げ、派遣元との団体交渉で解決金をかちとるという重要な成果をあげ、その組合としては解散しましたが、ひきつづき産業別の地方組織に残り、新しい職場が見つかったら、そこに階級的組合をつくって奮闘する決意をのべていました。これまでの労働争議の場合は、解決金をかちとって勝利解決をした場合には、労働組合が解散になり、組織的結集が断たれてしまう場合もありましたが、この間の特徴は、そうした場合でも、階級的自覚を高め、ひきつづき労働組合員として奮闘する決意を固めている場合が少なくないということにあります。これはたいへんに重要であります。

 全労連は、一貫して、地域労連とそのもとでの個人加盟の地域労組(ローカルユニオン)の強化・結成の方針を打ちだしてとりくみを強めています。この地域労組が、産業別の地方組織と並んで、いま全国で「非正規切り」とのたたかいの組織化の主体として力を発揮しています。こうした動きとの連携を大いに強めたいと思います。
(志位和夫「第2回 職場問題学習・交流講座への報告」前衛臨時増刊号 日本共産党中央委員会 p17-18)

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産業別結集のできる能力をもて

わが国の労働組合の大部分は、企業別組合です。それは、日本資本主義の特殊性と、労働組合運動発展の特異なかたちによるものですが、現在では、企業別組合のわくを破りきれないまでも、産業別統一闘争、産業別統一と全国統一闘争の結合がこころみられています。それは、労働組合が国家権力と結びついている米日独占資本とたたかううえで、そうせざるをえないからです。

 このとき、労働組合の右翼的幹部も、企業別から産業別結集をめざす方向をうちだしています。だがこれは、たたかわない産業別結集ですから、右よりに流される大きな危険がつよまっているといえるでしょう。

 右翼幹部たちが産業別結集をめざしているのは、一つは、米日独占資本の支配のつよまりのなかで、労働者の切実な要求が多面化し、これまで、企業別にゴマカシの解決をしていたが、それさえもできなくなり、組合員の要求にこたえるポーズをとるためには、そうせざるをえなくなっているからです。

 二つには、独占資本はいままでのように、企業内の搾取だけでなく、企業のワクをこえた全産業にわたる収奪と支配をするようになってきています。このためかれらは労働組合も産業別結集をめざし、産業別労使協議制によって、産業別の組織を「労使運命共同体」にひきづりこんでしまおうとしているわけです。

 こんにち、組合幹部は、資本主義の発展とそれに対応する産業別結集の法則性を、歴史的に、理論的にとらえる能力をもつことがつよくもとめられています。

 また、労働組合のがわからみますと、産業別組合は労働者が団結しやすく、有効にたたかいうる組織形態として、労働者の必要にもとづいて組織されたものです。しかし、労働組合の産業別組合への移行には、それなりの困難がありました。そのおもな原因は、たとえば、イギリスでみるなら、旧い幹部たちが自分の地位とナワバリをもちつづけるための抵抗でした。この問題を解決したのは、労働者を実際に産業別規模で結集し、産業別規模のたたかいを組織したことにありました。

 しかも、この産業別結集への道をひらいたのは、半熟練、不熟練の労働者の活動によるものでした。したがって、わが国の組合幹部で、もし、同じ製品をつくっていながら、同じ産業で働きながら、たとえば賃金について、大企業労働者と中小企業労働者の格差をみとめ、本工と臨時工の差別を当然とする考えがあるとしたら、この思想は、基本的には、労働者の産業別結集を否定する考えだといえます。一方では、産業別組合の重要性を強調しながら、組合に社外工、臨時工、パート・タイマーを組織することをこばむようでは、その幹部は、資本の、労働者にたいする分裂支配に手をかしていることと同じだといえます。

 組合幹部が、産業別結集の能力をもつということは、これらの必然性をふまえたものでなければなりません。
(細井宗一著「労働組合幹部論」学習の友社 p75-78)

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たたかいで影響力広げ組合員二千人拡大

──JMIUは今年二十周年を迎え、組合員が増えているそうですね。

 JMlU(全日本金属情報機器労働組合)は、金属機械、電機、鉄鋼、自動車などの金属関連、コンピュータ、ソフトなど金属情報機器関連産業で働く仲間を中心につくっている個人加盟の産業別単一労働組合で、全国労働組合総連合(全労連)の加盟組織です。日本IBMや日産自動車、ニコンなどの大企業から中小企業まで全国に約三百の支部・分会があります。

 JMlUは、全労連の中でも大きい組織ではなく、組合員は一万人に満たないのですが、昨年の六月以降で二千人ぐらい拡大しています。組合員にとっても、自分たちの組合に誇りと確信を持つことができた一年だったでしょう。地道な活動を続けてもなかなか芽が出ないときもありますが、この一年はたたかいを通じて社会的な影響力が広がったと思います。

 産業別の労働組合であったからこそ、こうした前進ができたと思います。個々の職場の問題も、産業別労働組合として取り組みます。団体交渉も「産別団交」といって、産別組織としてやるのです。また、派遣など非正規労働者も含めて、自分たちの働く企業の外の地域で労働組合未加入の労働者を労働組合に組織していくこと、私たちは「未組織の組織化」と言っていますが、この二つを非常に重視してきました。

真の産業別労働組合をめざして

 JMIUが真の産業別労働組合に成長しようとしてめざしている課題は、一つは金属産業労働者の労働条件に大きな影響をもたらす組織となること、二つ目は金属産業や社会に影響をもたらす組織になること、三つ目は産業別の組織として、どこの職場にいてもみんなが団結・連帯して、みんなの痛みをみんなで解決していくことです。

 今回のたたかいで、二つ目と三つ目の目標に向けては大きく前進することができました。先ほど話したように、どこで起こっている問題でも、みんなが大事だと考えて全国的な力が結集される、連帯感のある労働組合であることが大切だと思います。

 真の産業別労働組合は、企業の枠にとらわれていたらできません。企業別の組合では、地域の未組織労働者を組織することはできません。私たちは地域支部をつくって、地域の労働者も入れるようにして、いつでも労働者全体の団結をすすめていきます。だから、労使関係も個々の企業の中だけにとどめるのではなく、産業別組織であるJMlUと個別の企業の経営者との労使関係をどうつくるかが大事だと思います。

 本来的に言えば、いずれは産業別の経営者団体と交渉できるようになって、少なくとも金属産業で働く労働者の最低労働条件ぐらいは決めることができるようになりたいですね。現在はそこまではいかなくても、個々の会社側との交渉では、「産別団交」でJMlUが個々の経営との関係でも労働条件を決めることとともに、JMlUとしての最低基準、JMlUの組合員ならどこで働いていても少なくともこれだけの水準は勝ち取ろうという最低基準を示して要求しています。
(生熊茂実「たたかってこそ使い捨て雇用≠打破できる」前衛 09年7月号 日本共産党中央委員会 p113-115)

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◎「職場を移っても労働組合員として引き続きがんばっていけるような道の探求」と。