学習通信090617
◎男であるということが、女性を一人所属させること……
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一見意外に思えるが、「逃げること」も、効果的な反撃、悪あがきになる。
わかりやすい例が、男女間のことだろう。
ある知人が「男が一番恐れていることは、自分の女が自分の元から逃げていくことだ」と語ったことがある。妻や恋人に去られ、プライドをズタズタにされた男たちの復讐の頂点で起こるのが「復縁殺人」。つまり、逃げていく者を取り戻そうとし、そしてどうしても取り戻すことができなければ究極の所有のために殺すというのだ。社会学者の先輩はこの理由を、「男であるということが、女性を一人所属させること(支配すること)として定義されているからです」と語ってくれた。
(辛淑玉著「悪あがきのすすめ」岩波新書 p100)
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道・札幌市 児童虐待相談1644件に
■08年度 過去最多、5年で2.45倍
道や札幌市の児童相談所に寄せられた08年度の児童虐待相談処理件数が1644件に上り、過去最多となったことが15日、分かった。道議会の少子・高齢社会対策特別委員会で道が明らかにした。道は、道民の関心が高まり、これまで潜在化していた虐待が表面化したことに加え、ドメスティックバイオレンス(DV)を目撃した児童が心理的虐待を受けているとして通告するケースも増えていることが要因と説明している。
道のまとめによると、児童虐待の相談処理件数は03年度以降、増加傾向にあり、08年度の1644件は、03年度以降の5年間で2・45倍増えた計算になる。1644件のうち、札幌市の児童相談所が処理した件数は621件で、06年度に比べて倍増しており、伸び方が顕著だという。
通告は、警察からが377件と最も多く、全体の約23%を占める。次いで、家族からが約18%、福祉事務所が約12%。相談内容は、育児放棄などのネグレクトが843件で全体の約51%と最多。心理的虐待は407件、身体的虐待は365件で、前年度は3番目に多かった心理的虐待が、身体的虐待を抜いて2番目に多かったという。
主に虐待をするのは、約6割が実母で、実父は約3割。虐待を受けるのは、小学生が最も多く約36%で、0歳から小学生までが、全体の約8割を占めるという。
市町村が処理する相談件数も年々増加し、道は「市町村が通告窓口であることが認知されてきている」と説明している。面接指導は75・5%で前年度に比べて約15%増えており、道は「市町村での対応が困難なケースは、地域の関係機関のネットワークで対応している」としている。
しかし、3月末に稚内市で男児が虐待を受け、死亡した事件では、道旭川児童相談所稚内分室が母親らに聞き取り調査をしていたが、虐待を見抜けなかった。道は「関係機関と情報共有を図り、連携を強化して、虐待の防止、早期発見などに取り組んでいきたい」としている。
(「朝日」20090616)
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ILO・UNDP
中南米で女性の職場進出
仕事・家庭の関係変化
国際労働機関(ILO)と国連開発計画(UNDP)はこのほど、中南米地域での女性の労働に関する報告書を公表しました。女性の職場進出が仕事と家庭生活の間にあった伝統的な関係を変化させていると指摘しています。
報告書は、こうした変化はジェンダーの平等と生産性がより高い経済への必要不可欠なステップだと分析。労働問題での交渉、保育、フレックス・タイム制などの意思決定過程への女性の代表制の拡大を呼びかけています。
報告書によると、中南米地域で就労可能年齢の女性のうち就労者の割合は、1990年の32%から2008年には53%に拡大しました。現在、1億人の女性が働いていることになります。
仕事と家庭の調和は「現代の最大の課題の一つで、労働界での平等を促進し、貧困を減らすための基本的な要素だ」と述べています。また、仕事と家庭の間の緊張は、女性にとってだけでなく、国の経済成長にも大きな負担となっていると指摘。「今日、女性も男性も働いているが、家事労働の負担比率を変える過程はさまざまだ。公的サービスがかなり改善しなければ、社会生活を変えるほどの生活様式の変化はないだろう」と述べています。
また、「家事労働は女性の役割だという従来の思考態度は、生活の質の改善を妨げている。家族の世話は男性の責任でもある」と強調しました。
男女間の賃金格差については、中南米での女性の賃金は男性の70%でしかないと指摘しています。
報告書を発表したUNDPラテンアメリカ・カリブ海地域代表のレベッカ・グリンスパン氏は、「政府は他の国が実施している最良の事例を学ぶべきだ」と呼びかけ、次のような事例を挙げました。
▽コスタリカはすべての労働者に子どもの保育を提供している
▽ブラジルは非正規部門の男女労働者にも年金制度を適用している
▽チリは出産休暇を父親にも認めている
同氏は、ブラジルが労働問題での交渉への女性参加を拡大する措置を取ったことを称賛。「女性は、ジェンダーの視点で問題を提起できる。交渉は男性だけでやるべきではない」と語りました。(夏目雅至)
※ジェンダー
身体的、生物的な性に対して、社会的文化的な性のあり方を表す言葉。もともとは外国語文法で名詞の性別を表す言葉として使われてきました。
(「赤旗」20090617)
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◎「女性の職場進出が仕事と家庭生活の間にあった伝統的な関係を変化させている」と。