学習通信081212
◎政党機関紙の活用方法にも関心が……

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永田町
インサイド

政党機関紙 活用に苦心

 衆院選が視野に入り、各党や候補者が自らの政策や主張のアピールに躍起になっている中で、日ごろは地味な存在である政党機関紙の活用方法にも関心が集まっている。インターネットとの連動や紙面刷新によって新たな支持者層の獲得を目指す動きが広がっているほか、法律でがんじがらめになっている選挙運動の規制の網をかいくぐる思惑もあるようだ。

与党

自民
ネットと紙、同じ内容

 自民党の機関紙「自由民主」は韓国のインターネット新聞を研究し、二〇〇〇年一月にネット版を導人した。基本的な内容も価格も紙の新聞と同じで、年間購読料は五千円。パスワードを登録してもらい、ログイン時に読者を認証する仕組みになっている。紙とネットを合わせた発行部数は公称六十八万部だ。

 今年の夏、ネット版を読みやすく刷新した。文字中心の画面表示を改め、見だしや写真の大きさに大小を付けて「新聞の感覚で読みやすくなるよう工夫した」(党新聞局)。ネットの読者は多くはないが「動画を使ったり、所属国会議員のホームベージにリンクしたりして、深い情報を知ることができるよう改善を検討している。将来性はある」とみている。

 「自由民主」は十二月十六日号で二千三百五十号を迎えた。福祉政策をアピールするため、目の不自由な人に配慮した点字版も隔月で発行している。自民党が結党した一九五五年に創刊したが、そのときも名称は「自由民主」たった。

 六七年から「自由新報」になったが、九八年の参院選惨敗を受けて広報戦略を見直し、九九年に再変更した。当時は小沢一郎党首が率いる自由党があったため「自由新報では自由党の機関紙と間違われる」ことも懸念した。

 自民党員が減少し、新聞の発行部数も減っているとみられる。選挙に関心の高い中高年層を意識した取り組みを始めており「グルーブサウンズのザ・ワイルドワンズのコンサートで配布したこともある」(党職員)という。

公明
生活者重視、ソフトに

 公明党は機関紙「公明新聞」(約八十万部)を発行する。国会議員や地方議員の街頭演説や中し入れなどの広報活動を強化している。

 党の重要な資金源でもあるため、幹部を巻き込んで部数の維持、拡大の努力を続けている。太田昭宏代表は最近、著名デザイナーの山本寛斎氏と対談した。公明新聞の新春企画として掲載するためだ。

 同党の支持母体の創価学会の機関紙「聖教新聞」(五百五十万部)との併読を念頭に置きながら、一般紙との差別化も図っている。党の活動を中心に紹介する一面以外では、事件・事故や経済ニュースなどはあまり大きく取り上げず、生活者重視の軟らかい話題を重視している。

野党

民主党
拡販へ週間化を検討

 民主党の広報紙「プレス民主」は十二月時点で約七万三千部を発行し、前年度より一千部伸ばしている。基本はカラー八nで、選挙前などは候補者紹介などで柔軟に増ベージしている。月三回の発行だが、拡販につなげるため週刊化も検討している。二大政党の一翼として、情報発信の機会を増やす狙いだ。

 小沢代表が「どぶ板」選挙を訴えていることを踏まえ、選挙に向けた活動中にプレス民主を見せながら購読を勧誘している。二年前からカラー写真の映える上質紙を採用。榊原英資元財務官ら党外からの提言も月一回ペースで掲載し、熊党派層への訴えかけを狙う。

 編集方針は政治の動きや政策の決定過程などの説明以上に、メッセージを重複しているという。党所属議員の論文に一回を割くなど党や議員の考え方をわかりやすく紹介することに力点を置いている。安直な政府・与党攻撃は避けることなども心がけているという。

 民主党が弱いとされる女性の有権者をひき付ける紙面構成にも気を配っている。女性キャラバン隊や国替えで衆院福島2区の公認が決まった太田和美氏の奮闘記など、女性候補の活動に大きく紙面を割いた。

共産
「蟹工船」追い風

 共産党の「しんぶん赤旗」は「蟹工船ブーム」などの追い風で部数を持ち直している。五月から前月比増が続き、今月一日現在で四月に比ベー万八千部の純増。

 「増えている分は大半が党員以外」(岩井鉄也・機関紙活動局長)という。二〇〇六年一月の党大会で公表した百六十四万部の水準に戻すよう拡販に躍起だ。

 同党は志位和夫委員長の派遣労働者対策に関する国会質問がネット上で注目を集めたことなどを踏まえ、動画を紹介する「ニコニコ動画」に公式コーナーを開設するなどネット戦略を強化。ホームページで赤旗購読の申し込みをしやすくする工夫もしている。

 対象は若者層や中小企業経営者らを意識。紙面では社会保障の「切り捨て」など政策の不備に加え、景気悪化で厳しさを増す「国民のくらし」を積極的に取り上げる。

社民
若者意識し改革

 社民党は毎週水曜日に「社会新報」を発行している。部数は一九八三年の五十万部から現在は約十五万部に落ち込み、ここ数年は横ばいが続く。拡販の主力は地方議員だが、独自の活動にも力を入れている。ノルマは年五千部で、購読者を一年に一回招待し、落語会や抽選会などを開く地域もある。

 一面に政治中心のニュース、二面は国会論戦の様子などを掲載する。読者から「全体的に堅い」と指摘されることも多いという。若者層への訴求力が弱いのも悩みの種。編集体制を見直して若者の声を多く取り入れた紙面作りを目指す。社会新報、月刊の「月刊社会民主」とも黒字で廃刊は想定していない。

 国民新党は郵政団体などの党員向けに活動を紹介する「国民新党ニュース」を三十万部発行。すでに三号を数えた。改革クラブには機関紙がないが、十一月に政策バンフレットを無料配布した。


選挙時の裏技「号外」
配布制限のビラ代わり

 政党の機関紙には国政選挙や地方選の際、ビラの代わりに政策などを示した「号外」を配る裏技もある。公職選挙法はビラの配布を厳しく制限しているため、長年の間に各党が生み出した知恵だという。

 号外は見た目は普通のビラだが、機関紙の題字を使い「号外」と銘打つのがポイント。総務省によると、政治活動用であれば普通のビラも配れるものの「選挙違反かどうかの警察の事実認定の上では機関紙としたほうが無難」(ベテラン秘書)との声が強い。

 あくまで新聞という建前のため、枚数の制限はなく、戸別のポスティングもできる。ただ「一票をお願いします」といった表現は「政治活動」から逸脱した「選挙運動」にあたるため、文章表現には細心の注意を払うそうだ。

 政党によっては新聞媒体のほかに雑誌を抱えるところもある。自民党の「月刊自由民主」、公明党の「月刊公明」、共産党の「前衛」などが代表
例だ。

 自民党は女性向けの政治情報誌「りぶる」も毎月発行している。民主党も二〇〇二〜〇三年に季刊雑誌「ディスカッション ジャーナル『民主』」を発行したが現在は休刊している。

 雑誌の維持は難しい。共産党は最大で七種類の雑誌を発行していたが、現在は四種類にとどまる。
(「日経」20081211)

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 『イスクラ』のように、その綱領も、戦術も、組織活動もいっさいのものの重点を全人民的な政治的扇動におくものこそ、革命を見おとすおそれが最も少ないのである。

ロシアの全土にわたって全国的新聞から出ている組織の糸を撚る仕事にしたがっている人々は、この春の諸事件を見おとさなかったばかりか、反対に、彼らのおかげでわれわれはそれを予言することができたのである。

彼らはまた、『イスクラ』の第一三号と第一四号とに記述されているデモンストレーションをも見おとさなかった。

それどころか、彼らは、民衆の自然発生的高揚を応援することが自分たちの義務であることを生きいきと自覚して、これらのデモンストレーションに参加すると同時に、新聞をつうじて、全ロシアの同志たちにこれらのデモンストレーションのことを知らせ、同志たちがこの経験を活用する手助けをしたのである。

彼らの目が黒いかぎり、彼らは革命をも見おとさないであろう。

そして、その革命がなによりも第一にわれわれに要求するのは、扇動における熟達と、あらゆる抗議を支持する(社会民主主義的なやり方で支持する)能力、自然発生的運動に方向をあたえ、それを味方の誤りからも敵のわなからも守る能力であろう!

 こうして、われわれは、共同の新聞のための共同の活動によって全国的新聞を中心とする組織をつくるという計画を、なぜわれわれがとくに主張するかという理由の最後のものにたどりついた。

このような組織だけが、社会民主主義的な戦闘組織になくてならない柔軟性を保障するであろう、すなわち、多種多様で、急速に変化してゆく闘争条件に即応する能力、「一方では、兵力において圧倒的に優勢な敵が全兵力を一地点に集結したときにはこの敵との野戦を避けるとともに、他方では、この敵の不敏活性を利用して、敵が最も攻撃を予期しない場所と時機を選んでこれを攻撃する」能力を保障するであろう。

爆発や市街戦だけを予定し、あるいは「じみな日常闘争の漸進的な歩み」だけを予定して、党組織を建設するのは、このうえない誤りであろう。われわれはつねにわれわれの日常活動を遂行しなければならないし、またつねにあらゆる事態にたいして準備していなければならない。

なぜなら、爆発の時期と沈静の時期との交替をまえもって予見することは、ほとんど不可能な場合がきわめて多いし、またそれが可能な場合でもこの予見にもとづいて組織をつくりかえることは、とてもできないからである。

というのは、専制国では、このような交替は驚くほど速やかにおこなわれ、ときには、ツアーりのイェニチェリどものただ一回の夜襲によって引きおこされることもあるからである。

また、革命そのものも、けっして一回かぎりの行為と考えるべきではなく、(どうやら、ナデージヂンー派はそう考えているらしいが)、多少とも強力な爆発と多少とも深い沈静とがいくたびか急速に交替するものと考えなければならないのである。

だから、わが党組織の活動の基本的な内容、この活動の焦点は、最も強力な爆発の時期にも、最も完全な沈静の時期にも同様におこなうことができ、またおこなう必要があるような活動でなければならない。

すなわち、全ロシアにわたって統一的で、生活のいっさいの側面を解明する、最も広範な大衆を対象とした政治的扇動の活動がそれである。

ところで今日のロシアでは、このような活動は、きわめて頻繁に発行される全国的新聞なしには考えられない。

この新聞を中心としてひとりでに形づくられる組織、この新聞の協力者たち(最も広い意味での協力者たち、すなわちこの新聞のためにはたらく人々の全部)の組織こそ、まさに革命の最大の「沈滞」の時期に党の名誉と威信と継承性を救うことに始まって、全人民の武装蜂起を準備し、その日取りをきめ、実行することにいたるまでの、あらゆる事態にたいする準備をもった組織であるだろう。

 じっさい、わが国でごく通常の事柄になっている、一地方または数地方にわたる完全な一斉検挙の場合を考えてみたまえ。

すべての地方組織が一つの共同の、規則的な仕事をもっていないために、このような一斉検挙があると、何カ月も活動が中絶することがしばしばある。

ところが、もしすべての組織に共同の仕事があったなら、最も手いたい一斉検挙をこうむった場合にさえ、二、三人の精力的な人人が数週間も活動すれば、いろいろな新しい青年サークルを共通の中央部に結びつけるのに十分であろう。

よく知られているように、こういう青年サークルは、いまでさえきわめて急速に生まれているのだが、一斉検挙のために被害をこうむるにいたったこの共同の仕事がだれの目にもはっきり見えるようになれば、新しいサークルはさらにいっそう急速に生まれて、この仕事に結びつくことができる。

 他方では、人民蜂起を考えてみたまえ。

われわれがこれを考え、その準備をしなければならないということには、いまではおそらくだれもが同意するであろう。

しかし、どういうふうにその準備をするべきなのか? 中央委員会が蜂起の準備のためにすべての地方に受任者を任命するわけにはいかない! たとえわれわれが中央委員会をもっていたにしても、ロシアの現状では中央委員会がそういう任命をおこなったところで、まったくなにも達せられないであろう。

これに反して、共同の新聞の発行と配布の活動にもとづいてひとりでに形づくられる受任者網は、蜂起を呼びかけるスローガンが出されるのを「坐して待つ」必要はなく、まさに蜂起が起こった場合に成功の公算を最もよくそれに保障するような、そういう規則的な仕事をおこなうであろう。

まさにそのような仕事こそ、最も広範な労働者大衆との結びつきをも、専制に不満をいだくすべての層との結びつきをも、固めるものであろうし、そしてこのことが蜂起にとっては非常に重要なのである。

まさにそのような仕事にもとづいてこそ、一般的政治情勢を正しく評価する能力、したがってまた蜂起に最も適した時機を選ぶ能力が、つくりあげられるであろう。

まさにそのような仕事こそ、すべての地方組織を訓練して、ロシア全体を激動させている同じ政治問題、場合、出来事に同時に反応し、これらの「出来事」にできるだけ精力的に、できるだけ一様に、また適切にこたえる習慣をつけさせるであろう。

──そして、蜂起とは、実質上、政府にたいする全人民の最も精力的な、最も一様な、最も適切な「答え」ではないか。

最後に、まさにそのような仕事こそ、ロシア各地いたるところのすべての革命的組織を訓練して、党の実際上の統一をつくりだすような、最も恒常的であると同時に最も秘密な連絡をたもつ習慣をつけさせるであろう。

──そして、このような連絡がないなら、蜂起の計画を集団的に討議することも、極秘にしておかなければならない蜂起前夜の必要な準備方策をとることも、不可能である。

 一言でいえば、「全国的政治新聞の計画」は、空論主義や文筆家かたぎに染まった人々の書斎仕事の産物(この計画をろくろく考えてみなかった人々の目には、そう見えたのだが)でないばかりか、反対に、いますぐあらゆる方面がら蜂起の準備を始めると同時に、自分の緊要な日常活動をただの一瞬間も忘れない、最も実践的な計画なのである。
(レーニン「なにをなすべきか」レーニン一〇巻選集A 大月書店 p170-174)

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◎「共同の新聞の発行と配布の活動にもとづいてひとりでに形づくられる受任者網は、蜂起を呼びかけるスローガンが出されるのを「坐して待つ」必要はなく、まさに蜂起が起こった場合に成功の公算を最もよくそれに保障するような、そういう規則的な仕事をおこなう」と