学習通信081020
◎131期京都中央労働学校経済学コース
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ワーキングプアと『資本論』
普通、人は誰でも学校を出て働くことになる。働いて賃金(給料、収入)を得て、生活するようになって一人前といわれる。就職できると、まず時間ぎめで賃金(時給、日給、月給)が決まる。実は、経済学は、もう始まっている。リアルな話、資本主義下で人間は、いくらかのお金(マネー)で売買される労働力商品なのだ(ただし賃金は労働力の価値・価格以下に押し下げられる)。
マルクス『資本論』は、最初の第一篇「商品と貨幣」から始まり、貨幣が資本となり、資本の生産過程、剰余価値(有名な搾取論)、労賃、資本蓄積の法則へと展開し、蓄積の歴史的傾向が明らかにされる。学生時代にどうしても学習しておきたい。
私たちが労働し生活する日本の資本主義は、小泉政権がすすめたアメリカ仕込みの新自由主義、とくに労働法制の規制緩和によって発達した資本主義国として異常な貧困と格差が拡大し、ワーキングプアの増大が重大な社会間題となった。その根源には大企業による雇用破壊がある。
経団連会長企業キヤノンの実態は、正社員から派遣労働者への切り替えがあり、人間をモノのように使い捨てて「優良」企業のレッテルをはった。
これらの問題を批判的に把握する基本的理論は、『資本論』第七篇「資本の蓄積過程」の第二三章、とくに相対的過剰人口の累進的生産、さまざまな実存形態等の諸節で解明されている。
青年時代に『資本論』を読んで二一世紀を明るい展望をもって生きる。それこそすばらしい出発点である。(泉)
(「経済 08年5月号」新日本出版社 p5)
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京都中央労働学校
経済学コース…『資本論』を読む
第3部 資本の蓄積はどのように行われるか
◎林昭先生からの紹介
■□ 格差・貧困・失業・不景気 その根源は? □■
小泉内閣によって進められた「構造改革」以来、一方で何億の大金を自由に動かす投機家がいると思えば、他方でワーキングプァーといわれる生活保護以下の毎日の生活を送らされている若者がいるというように、貧富の差が大きく広がっています。そして日本経済が大きな格差を抱える社会になりつつあるということが言われています。こうした格差が生まれるのはどうしてでしょうか。それは資本主義のもとで資本が蓄積され、拡大していく結果必然的に起こるのだというのがマルクス『資本論』での結論です。
また一方で失業者が依然減らないのはどうしてか、景気変動はどうして起こるのか、さらに最近では銀行や企業同士の合併や統合がさらに進み、大きな銀行が誕生し、かつての銀行の名前が次々と変わって新しい銀行が登場しています。また大手のデパートも統合されています。そして今や日本の企業や銀行は、世界にもどんどん進出し、「多国籍企業」になりつつあります。このような日本経済の急激な変化は何が原因になっているのでしょうか。
それらの根源になっているのは、資本主義のもとでは競争が不可避的であること、競争に勝つためには資本家は常に資本を大きくし、蓄積していかなければならないこと、そういう事情があります。
つまり資本主義のもとではこうした現象は必然的に起こるのです。ではその必然性はどういう資本主義の構造から起こるのか。それが「経済学コース第3部」で明快に解明されます。マルクスの痛快な論理展開を『資本論』から共に学びましょう。
カリキュラム
11/03(月) 第1講義
資本とはなにか、どのようにして生まれてくるのか
11/10(月) 第2講義
搾取を強める方法について──拡大された剰余価値生産
11/17(月) 第3講義
単純再生産で明らかにされること
11/24(月) 第4講義
拡大された規模での再生産──剰余価値の資本への転化
12/01(月) 第5講義
資本主義蓄積の一般的法則とはなにか
12/08(月) 第6講義
貧困化の法則性をめぐって
12/15(月) 第7講義
資本の本源的蓄積とは
12/22(月) 第8講義
『資本論』第1部でマルクスはなにを明らかにしたか
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◎「青年時代に『資本論』を読んで二一世紀を明るい展望をもって生きる。それこそすばらしい出発点である」と。