学習通信080610
◎1人でもだれでもどんな働き方でも加入できるユニオン……

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映画「ドレイエ場」と私のたたかい
JMIU東京地方本部
日本口ール製造支部書記長
 川田泰志

 私は一九八八年に日本ロール製造に入社しました。毎朝送迎バスで正門をくぐると、赤いハチマキを締めた大勢の人が「千葉委員長を就労させろ」とシュプレヒコールをあげていましたが、当時の私には、何をしているのか分かりませんでした。

 私自身、二〇〇二年五月、パイプエ場の生産停止に伴い、事実上の解雇の攻撃を受けました。映画の中にも出てくる「従業員組合(現JAM)」に加盟していたので「パイプエ場で働き続けたい。私たちは何も悪いことをしていないのにつなぜ首をきられなくてはならないのか」と、書記長と本部役員に訴え、会社側と交渉しましたが、その後、組合本部での打ち合わせ時に「雇用が確保されるのであれば、身分は正社員ではなく契約社員でも良いではないか」という耳を疑いたくなるような意見が出てくるありさまでした。

 そのとき初めて、この組合は御用組合なのだと気づき、他の組合員も引き連れて、全日本金属情報機器労働組合(JMIU)へ移る決心をしました。

 その後のニカ月に及ぶ出勤闘争(会社は再就職支援期間との名目で、出社しなくてよいと言っていた)のさなか、私たちの組合をモデルに作られた映画「ドレイ工場」を初めて見ました。クレーンからの墜落事故シーンが印象に残っています。見習で不慣れでも、すぐに作業につける、頭数さえそろっていればよしとする風潮、安全に対する意識の希薄さ。多かれ少なかれ現在にも残っている気がします。

 映画の中で組合幹部が解雇されますが、その争議が、私の入社当時の朝のシュプレヒコールにつながっているのだと、このとき理解しました。

 三月二十二日の完成四十周年上映会で、改めて「ドレイエ場」を見ました。働く仲間の不満や意見から組合が結成されたこと等、組合に入ったときの初心を再確認できました。また、争議の訴えを宣伝力ーから行っているシーンでは、隣で一緒に見ていた当該支部最年少の組合員と、「緊張するし恥ずかしくて嫌なんだよね」と、新鮮な気持ちがよみがえってきました。

 「ロールは変わって良くなってきたよね」という言葉を最近よく耳にしますが、実際は、組合敵視、生産第一主義など、さほど変化ないように思うときがあります。以前がとてつもなく劣悪な環境だったということもあり、仕方ないのでしょうが。

 争議のデパートと呼ばれた日本口ールは現在、組合員二十名弱。「このまま減少していったらどうなってしまうのか」との不安もありますが、たとえ少数であろうとも労働組合の存在意義を強く実感しました。

 余談ですが、映画の中で、前田吟さん、日色ともゑさんが初めて出会う長島寮が、昨年の七月から、現組合事務所になったのは、何かの縁かもしれません。
(「赤旗」20080422)

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知ってトクする
ユニオンのABC 1

一人でもどんな働き方でも

 2000年に首都圏青年ユニオンを仲間と結成したころ、「ユニオンって何?」とよくきかれました。

 日本では会社の中につくる企業内労働組合がほとんどなので、1人でもだれでもどんな働き方でも加入できるユニオン(個人加盟の企業横断的な労働組合)は珍しく、多くの人にはなじみがなかったためでしょう。

 でも、いま、日本では労働組合に加入している人は全労働者の約18%でしかな<、パート・アルバイト・派遣などの非正規雇用労働者で労働組合に加入している人は数%といわれています。

 残念なことではありますが、職場に労働組合がない会社がほとんどです。労働条件のよくない非正規雇用労働者ほど労働組合に入っていないために、違法な労働条件のままで働かされているというのが日本の現状です。

 労働組合が職場にないときに、「お前はクビだ」「給料を下げるぞ」などと不当なことを会社に言われたらどうすればいいでしょうか?

 「職場仲間と一緒に労働組合をつくる」というのも一つの重要な解決策です。ただ、職場仲間が労働組合結成に消極的だったり、あるいは、あなたが派遣社員で「職場仲間」というような関係をつくることがそもそも難しかったら、どうすればいいでしょうか?

 そういうときに役に立つのがユニオンです。ユニオンには、1人でもどんな働き方でも入れます。現在、さまざまなユニオンが、地域別、産業別、あるいは階層別(青年ユニオンなど)につくられ、泣き寝入りしたくない人たちを支えています。

 不当なことに1人だけで抗議していてもなかなか会社側が間いてくれないのが現実です。ところが、ユニオンに入って団体交渉を申し入れると、会社側の態度が大きく変わることがほとんどです。

 というのは、ユニオンが会社に団体交渉を申し入れると、会社は正当な理由がなければ交渉に応じなければいけないからです。これは労働組合法という法律にちやんと書いてあります。

 職場に1人だけだったとしても、ユニオンに入りさえすれば、どんな会社とでも対等に話し合うことができます。団体交渉で会社と対等に話し合い、クビを撤回させたり、不当な賃下げをやめさせたりすることもできます。もちろん、すべて完全勝利というわけにはいきませんが、何もしないのと行動するのとでは結果は大違いです。

 職場では1人でも大丈夫です。ユニオンには仲間がいます。みんなで支えあって声をあげていくことがあなたの暮らしやひどい世の中を変える一歩になると思います。(首都圏青年ユニオン書記長・反貧困たすけあいネットワーク事務局長 河添誠)
(「赤旗 日曜版」20080601)

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はじめに

 私たちはいま、資本主義社会のもとで生活しています。

 資本主義社会のもとでは、運転手、キーパンチャー、銀行員、事務員、看護婦、オペレーターなど仕事の種類や内容にちがいがあっても、結局のところ労働者は、労働力を資本家に売りわたし、賃金をもらって生活していく以外に生活する手段をもちあわせていません。

 そこで、すこしでもましな生活をしようとおもえば、人一倍働いて、自分の労働力を少しでも高く買ってもらおうという労働者相互間の競争にひきずりこまれることになります。

 資本家は、これを利用して、さらに分裂と競争をあおり、搾取と支配を強化してきました。

 このような資本家の搾取と支配・抑圧にたいして、労働者は、人間らしい条件で働き、生活するために、おたがいどうしの競争をやめて、共通の利害にもとづく共通の要求で団結し、資本家に要求の実現をせまると同時に、賃金や労働条件を守る恒常的な団結の組織として労働組合をつくるようになったのです。
(「労働組合員 教科書 実務編」学習の友社 p10-11)

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◎「人間らしい条件で働き、生活するために、おたがいどうしの競争をやめて……恒常的な団結の組織として労働組合」と。