学習通信030801
◎創造性 Imagine ひとつの話題についておなじことばかりいっている人間を見ると、ほんとうにつまらない、創造性も感じないもの。
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頑固が頭を悪くする
糸井:人の顔を見るにしても、人それぞれによって、見る時に重視する箇所か違っていますね。テレビを見ていて「あの人に似てるね」と言っても「いや、似てないよ」と言われる場合は、きっと認識し反応する場所が違うからかもしれない。
公約数的なパターンの組み合わせが上手につかめる人は、似顔絵か上手だとか、そういうことなんですか。
池谷:そうなんです。、ほくがこの実験の話を通して言いたかったのは、まさにそのことなんですね。つまり、芸術を見る目にしてもそうでしょう。
プロのモダンバレエの選手がモダンバレエを見る視点と、ばくがモダンバレエを見る視点とは明らかに違うと思うのですが、目の前に上演されているものはおなじですよね。
おなじ視覚情報が入ってくるにも関わらず、認識するためのパターンの組み合わせが違う。だからそれぞれの人の見方に個性が出るわけだし、創造性が生まれる。
そう思うと、日常生活においていかに新しい視点を加えることが大切かということがわかります。新たなパターンをひとつ入れるだけで、統計学的に言ってかなり認識の組み合わせ数が増えますから。
「認識を豊富にしてネットワークを密にしていく」ということかクリエイティブな仕事というものに近づいていくヒントかな、と思いました。
糸井:それって頭をよくする方法でもありますね。
池谷:そうなんです。
糸井:発想力や創造力と言われるものは、脳を研究していくと、記憶力の話になるんですね。新しい記憶の体系をつくることが、クリエイティビティなのか。
池谷:そういうことですね。ひとつ認識パターンが増えると、組み合わせは飛躍的に増えます。
糸井:おもしろいです。
池谷:ええ。逆に、ひとつ認識を追加したために、さきほどの牛の絵のように牛以外には見られなくなってしまう場合もありますけれど。
糸井:今の話を伺っていると、人はどこかで、「様式的な意味だけでは満足しないぞ」と思っていたら、認識のパターンが増える可能性が高まるでしょうね。つまり、牛だと思って見ていたら、他のものに見ようとするチャンスが減ってしまうから。
池谷:それを、ものを見る時の「余裕」と呼ぶのだと思います。
糸井:余裕とか遊びだとかが大事だというのは、見事にそういう意味ですね。ものを別の角度から見るのがいかに大切かもあらためてよくわかりました。
確かに、ひとつの話題についておなじことばかりいっている人間を見ると、ほんとうにつまらない、創造性も感じないもの。
池谷:そうなんですよ。そういうことはコンピュータで十分。
糸井:ゆとり、余裕、遊びかぁ。
池谷:つまり、新しい認識方法を受け人れるためのスペースが必要ですよね。いっぱいいっぱいになっていると可塑性(かそせい)は生まれませんから。
糸井:頑固になるというのは、可塑性がなくなること。
池谷:可塑性の権利を放棄してますから、もったいないです。
糸井:ひとつだけの見方にとらわれないで、絶えず新しい組み合わせを探そうとするのは、いつでも生きていく動機が増えるということでもある‥…とにかく、傾固はかないまへん、ですよね。
池谷:頑固ということこそ、「頭の悪い人」の定義のひとつかもしれません。
糸井:ぼくは小さい頃から、頑固な先生に怒られ続けて、もう泣きそうになって生きてきたんだから。
「余計なことを言うな!」とか、よく言われて。当時は余計なことじゃないんです。視点の組み合わせをひとつ増やしました」とは、反論できなかったですから。
学校だけじゃなくて、塾でも「あなた来なくていい」って言われたのは、せつなかった。
(池谷・糸井著「海馬」朝日出版社 234-237p)
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あるていど歳をとれば、人にはわからないことがあると思うのは、当然のことです。しかし若いうちは可能性がありますから、自分にわからないかどうか、それがわからない。たからいろいろ悩むわけです。そのときに「バカの壁」はだれにでもあるのだということを思い出してもらえば、ひょっとすると気が楽になって、逆にわかるようになるかもしれません。
そのわかり方は、世間の人が正解というのと、違うわかり方かもしれないけれど、もともと問題にはさまざまな解答があり得るのです。そうした複数の解を認める社会が私が考える住みよい社会です。でも多くの人は、反対に考えているようですね。ほとんどの人の意見が一致している社会がいい社会だ、と。
若い人もそうかもしれない。なぜなら試験に正解のない問題を出したりすると、怒るからです。人生でぶつかる問題に、そもそも正解なんてない。とりあえずの答えがあるだけです。私はそう思っています。でもいまの学校で学ぶと、一つの問題に正解が一つというのが当然になってしまいます。本当にそうか、よく考えてもらいたい。
(養老孟司著「バカの壁」新潮新書 4-5p)
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日本の言葉に、こんな言葉があると聞いたことがあります。みなさんも、聞いたことがあるでしょう?
月とスッポン──
月もまんまる。スッポンもまんまる。一見、似たもの同士だけど、よく見れば、まったく別の代物。そんなことから、この言葉は、「二つのものが比べものにならないくらい違っている」という意味で使われているそうです。
私はこれまで、映像、活字の世界で、報道関係の仕事をしたこともありますが、真実と虚構、ホントとウソ、フィクションとノンフィクションの関係も「月とスッポン」みたいな関係かもしれません。両者は一見、よく似ています。
あなた自身も経験があるでしょう? 「ホントだと思っていたのにウソだった」「ウソだと思っていたのにホントだった」という話が……。
なぜ、私たちの人生には、こういうことがあるのでしょうか?
一つの理由──それは、私たちが「先入観」や「思い込み」を持って生きているからです。一般的に言って、人間は自分が体験した範囲の中でしか、物事を理解しようとはしないものです。
しかし、人間が生きているこの世界、この現実社会で起こっているいろいろな出来事は、とても一人の人間が体験した範囲で語れません。だから、私たちは「見誤る」のです。
では、どうしたらいいのでしょうか?
神様はそんな私たちに、たった一つの「武器」を与えてくれました。
それは「想像力」です。
ただ見る、聞く、考えるだけではダメなのです! もっと、
想像力を使って生きるのです!
想像力を使えば、きっと、あなたは、あなたが知らなかった世界、理解できなかった出来事も、受け入れることができるようになるはずです。なぜなら、あなたが見えること、考えること、疑問に持つことが違ってくるからです。
つまり、想像力を使って生きるということは、あなたの世界観、あなたの社会観、あなたの人生観を広げること、深めることなのです。それは、あなたの1回きりの人生を、とても豊かにすることになるでしょう。
これから、私はこの本で、あなたにとって信じられない報告をすることになるでしょう。
あなたは、この報告をとうてい受け入れられないかもしれません。「バカバカしい!」「考えたくもない!」と怒り出してしまうかもしれません。
でも、そう思ったとしても、ちょっと待って!
では、あなたがこれまで見てきたこと、聞かされてきたことは全部ホントでしょうか?
結局、ホントだと思ったのは「テレビで見たから」「新聞で読んだから」というだけではありませんか?
もし、それだけであなたがホントだと信じているとしたら、あなたという存在は、いったい、何なのでしょうか。
ほんの少しだけでいいから想像力を働かせて考えてみてください。
真実はコインの表側よりも裏側にあることを、右手よりも左手に握られていることを、一瞬でいいから、思い浮かべてください。そうしたら、あなたの結論は180度違ったものになるでしょう。
そして、あなたはこう気づくはずです。
創造力こそが、私たちを救い、真実の導く道しるべなのだと──
(エム・ハーガ著「アポロってほんとうに月に行ったの?」朝日新聞社 6-8)
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Imagine there's no heaven
it's easy if you try
no hell below us
above up only sky
imagine all the people
living for today...
Imagine there's no countries
it isn't hard to do
nothing to kill or die for
no religion too
imagine life in peace...
Imagine no possesions
I wonder if you can
no need for greed or hunger
a brotherhood of man
Imagine all the people
sharing all the world...
you may say I'm a dreamer
but I'm not the only one
I hope someday you'll join us
and the world will be as one
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